母の姿

「死ぬのが怖い。夜、病室に一人になるのが怖いから、誰か一緒にいてほしい」。そう懇願したのは、余命いくばくもない母方の祖母だった。

あんなに気丈だった祖母が弱々しくなっている。私と弟は同情して、慰める言葉をいくつかかけた。だが、母だけは違った。

「何言っているの。死ぬ時は誰でも一人なの。誰にも迷惑をかけずに死になさい」と祖母を叱責する。

それを聞いた弟は怒った。
「何言ってんだよ。おばあちゃんがこんなに淋しそうにしているのに、それでも人間かよ」

祖母のほうを向き、「俺がいてやろうか、ばあちゃん」と優しく問いかける弟。祖母は「ありがとう、ありがとう」と涙を流す。

それをさえ切るかのように、「何言っているの、やめなさい。おかあさん、いい加減にして頂戴。醜態をさらさず、死になさいよ」とさらに祖母を叱咤する。

「恐い怖い。死ぬのが怖い」
祖母は小さくなってそう呟いた。

結局は、また来る約束だけをして病室を後にすることになったのだが、私と弟は、祖母を見るのがこれが最後となった。

どうやら母は、後日、母の妹と一緒に見舞いに来たときも同様の言葉を祖母に浴びせたらしく、母と妹は葬式後から絶縁状態となった。あまりにも酷いということで。

私は、母の気持ちが理解できる。
実は、母と祖母は、とある宗教の熱心な信者だ。この宗教の教えに則れば、死は恐れるものではない。現に母は、死を恐れずに行動したことが幾度かあった。そんな母は、祖母の背中を見て育ったのだ。

しかし、祖母は死をまじかにした時、死に恐怖した。たぶん、それが見ていられなかったのだ。同じ信仰をしていた祖母が死を恐れる姿を。

私は母に言った。
「もし、かあちゃんが同じように死が近づいて、死を恐れたら、ばあちゃんに言ったことをそのまま言ってやるよ」と。

母は「そんな必要はない」とだけ言った。

 

藤吉久美子の不倫の何が悪い?

藤吉久美子という女優が不倫しているとかしていないとかニュースで流れてくるから、何歳かと思って年齢を見てみたら、56歳とのこと。いやーー、56歳で男を虜にできるなら天晴れですよ。何を世間は批判しているんでしょうね。むしろ賞賛したいぐらいですわ。気になってどんな容姿か画像検索したら、まーー美人だこと。俺も全然行けますよ。※投稿者は熟女好きです。
身体ほぐしましょうか。ぜひほぐさせてください。

 

機械化

海外旅行の密かな楽しみと言えば、パスポートに押されるスタンプである。パスポートを眺めるたび、「こんなにも海外にきたんだな」といった悦に浸たれる。

シンガポールから日本に帰国するときのことである。チェックインを済ませようと空港会社の窓口まで行くが、受付人が見当たらない。その代わりに、いくつもの無人機が並んでいる。この機械で手続きしなくてはいけないようだ。恐る恐る画面にタッチをしながら、簡単な入力を数回とパスポートをスキャンしたら搭乗券が出てきた。

驚いたのはそれだけではない。出国まで無人機なのだ。パスポートと指紋をスキャンするだけで出国審査が完了した。なんと便利になったことか。これでは出入国審査官の仕事がなくなるのではないか。そんな心配を一瞬したが、それよりもずっと大切なことをに気づいた。出国のスタンプが押されていない。機械化が進めば、パスポートを眺めて悦に浸るという、ささやかな楽しみがなくなってしまう。

機械化してもいい。だがせめて、スタンプだけは押してほしい。

焼酎

芋焼酎をお湯割りで飲む。昨年の冬から暖かいお酒が飲みたいと思い、辿り着いたのが芋焼酎だった。日本酒の熱燗も捨てがたかったが、温度調整が面倒だと思い、焼酎に至った。焼酎はいい。ポットのお湯をコップに注ぎ、そこにお酒を入れるだけで済むのだから(この順番が大事)。今年も11月中旬から飲み始めた。飲みやすくて美味しいのはいいのだが、900mlを3日、早いときは2日で消費するのは考えものだ。まぁ、美味しいから仕方ない。

お肌のカサカサ

肌のカサカサが気になるようになった。年齢のせいだろうか、歳を重ねる毎に酷くなっている気がする。最近購入したオリーブ油の石鹸、洗顔直後はヌルヌル感があり、肌はしっとりとするのだが、乾いてくるとカサカサしてくる。普通の石鹸よりはいいのだろうが、私の乾いた肌にはまだまだ足りないようだ。問題は、何が足りないのかが分からないことだ。こんな時、化粧水を付ければいいのか、乳液を付ければいいのか、男性の私にはよく分からない。とりあえず、油を塗れば良いと直感し、妻からオリーブ油をわけてもらった。石鹸と同じ油だし、相性もいいだろうと自己説得しながらペタペタと塗る。分量の加減が分からない。

出版

科学的にも統計的にも根拠がない話が本なることがある。たとえば、「稼ぐ人は長財布を使っている」「青ペンで書くと記憶力が増す」といった類の本がそれだ。自身の経験や身の回りの人がそうだったからという理由だけで本にしている。それならば、私でも一冊ぐらいは書ける。結構自信がある持論なのだが、男性の自信とちんぽの大きさは比例する。私はこれを「ちんぽと自信の法則」と呼んでいる。この法則を導き出すのに、それなりのサンプル数を見てきたつもりだ。仲が良い友人とはちんぽの話をするし、温泉や銭湯にいけば生を見ることだってある。これらの検証データは、「長財布」「青ペン」の本と比べても多いはずである。出版の話、待ってます。

意地が悪い

「あなたって、本当に意地が悪い」
このセリフは、週に20回妻から言われる。今日も言われた。

夕刻、些細な喧嘩から妻は「家を出ていく」と言い、玄関を出た。この言葉は額面通りのものではなく、「頭にきたから買い物をしてくる」の意味を含んでいる。

3時間後、私がお風呂に入っている時に妻は帰ってきた。だが、家の鍵はかかっている。妻は、外からお風呂場の窓を叩き、開けろと叫ぶ。顔を見なくても鬼の形相であることが容易に想像できた。

慌ててお風呂から上がり鍵を外す。玄関に入るなり、発せられたのが冒頭のあの言葉だ。帰ってくるのをわかっていながら鍵をかけたと言いたいのだ。

言い訳をさせてもらえば、妻はいつも私に「家にいるときも鍵はかけるように」と言い聞かせてきた。私は従順な犬のようにその言いつけを守ったに過ぎない。にもかかわらず、わざと鍵をかけた意地の悪い男と私を罵るのだ。

釈明しても火に油を注ぐだけだ。私はただひたすら謝ることに徹した。いつもこんな感じだ。意地が悪くてしたわけでもないのに、意地の悪い男というレッテルを貼ってくる。そして私は黙ってそれを受け入れる。

深夜零時、妻は寝た。妻が買ってきたシュークリームにワサビを入れる。

 

地元情報誌

2年ほど前から、我が家にも『リビングひろしま』が投函されるようになった。

投函される以前、「うちにはリビング入らないの?」と妻に尋ねたら、「うちは商圏に入っていないみたいだから入らないね」と言われ、少し寂しい気持ちになったのを覚えている。初めて『リビングひろしま』がポストに入っているのを見た時、ついにうちも商圏として認められたんだと思い喜んだ。妻にも「ついに我が家にも投函されるようになったぞ」と、なぜか自慢げに伝えた。

『リビングひろしま』は毎回欠かさず目を通している。特に役立ったことはないが、知っている人が載っているとちょっと嬉しくなる。たぶん、それだけのために読んでいる。

「強い」って何ですか? 私はまだその答えを聞いていない

中学時代から読み続けているボクシング漫画がバッドエンドを迎えそうである。主人公がパンチドランカーを患い、もうボクシングを続けられない状態になってしまったからだ。私的には、主人公の世界戦や因縁のライバルとの試合を見たかったのだが、どうやらそれは叶いそうもない。本当に残念だ。ネット上には、私と同様、ファンたちが阿鼻叫喚の声をもらしている。こうなったら、困った時の秘技「夢オチ」を使って、パンンチドランカーをなかったことにすればいい。まぁ、そんなことにはならないだろうが……。作者がどんな形で終わらせるのかはわからないが、ファンが満足する形にはならないだろう。終わりまであと一歩。

 

倍速再生

お気に入りの動画を視聴しようとiPhoneYouTubeアプリを開いてみたら、倍速再生の機能が新たに追加されていた。やった、やったぞ。この時がくるのをどれほど待ち望んでいたことか。倍速再生をするために私はいつもパソコンを開いていたが、その手間から解放される日がついに来たのだ。これからは、いつでもどこでもYouTube動画を倍速再生して視聴することができる。早速、YouTubeにあがっているラジオ番組『武田鉄矢の今朝の三枚おろし』を2倍速で聞くことにした。3時間分聞いた。