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「この子」と「あの子」

妻は、電化製品を「この人」と呼ぶ。
たとえば、パソコンを長時間使っていると、「この人、今日長く働いているから、休ませてあげて」とお願いしてくる。それを聞いて私はパソコンを一旦閉じる。

 

妻は、昆虫を「この子」と呼ぶ。

たとえば、家の中に虫が入ると、「この子、外に出してあげて」とお願いしてくる。それを聞いて私は虫を捕まえ外へ逃がす。

 

妻を観察していると、大きなものは〝この人“、小さいものは〝この子”と区別しているらしい。ところが、食べ物には、「この子」とも「この人」とも言わない。

 

私は卵に顔を描いてみた。目と口を描いただけの簡単な絵だ。妻はそれに気づき、笑いながら「この子、可愛いね」と言った。この日を境に、食べ物は「この子」となった。