大きいほうだよ

人は見た目が9割
この言説はおそらく真理だろう。見た目には、その人の美意識や粋、相手への気遣いや思いやりが表われる。外見は内面を映す鏡と言ってもいい。

私の愛読書の一つに、ビートたけしの著書『浅草キッド』がある。本書の中で私が特に好きなのは、たけしの師匠である深見師匠の話だ。深見師匠の江戸っ子精神に今の現代人にはない心意気を感じ、何度も読み返した。深見師匠もまた、服装の大切さをたけしに説いている。

「タケ、おめぇな、いくら貧乏しているからって芸人の端くれなんだからな。芸人は食うもん食わなくたって着るもんにはお金をかけるものなんだよ。ええ、腹減ってんのは見えねぇけど、どんな服着てるかってのはすぐに分かるぜ」(P118)。

barで友人からこんな相談を受けた。「A子とB子、どちらと付き合おうか悩んでいるんだよね。A子は・・・でいい子だし、B子は・・・で可愛いし。なぁ、どっちと付き合ったほうがいいと思う」。以前の私なら、「両方と付き合えばいいんじゃね」と答えていただろう。しかしこの時の私は、『浅草キッド』を読んでいたこともあって、外見の大切さが脳裏をよぎった。私はウィスキーグラスを静かに置き、彼の眼を見てこう言った。「おっぱいの大きいほうだよ」。